星に願いを・・・
壮大な宇宙にテーマを絞った随筆(エッセイ)集です

 
星に願いを・・・Part17(海王星) 2004/03/06


 ローマ神話では、海王星は海の神ネプチューン(ギリシャ神話ではポセイドン)です。
 全くの偶然で発見された惑星が天王星であることは、Part14で触れましたが、海王星発見の場合 は天体科学の勝利とも言うべきか、計算理論に基づいて、実際にその答え(予言)の方向に天体望 遠鏡を向けて発見されました。「百聞は一見にしかず」を真っ向から否定するみたいなものですが、 予言を実証した例として、この話は天文学以外の分野でも有名です。
 海王星発見の理論の元となったのは、その内側を回る天王星の軌道が乱れていたことです。この 乱れは、天王星の外側を回る未知の8番目の惑星の存在が引き起こしているのではないかと考えら れたのです。この未知の惑星の軌道の計算作業に取りかかった若き天文学者と数学者の名はアダ ムスとルベリエ。現在のコンピューターを駆使すればこの手の計算は瞬時のうちに行えますが、当時 彼らは2年もの歳月を費やしています。この計算もむなしく、当時は彼らの予言などを信じてドームを 開けてくれる天文台など在りませんでした。ルベリエは友人であるベルリン天文台・助手のガーレに 手紙を送って、天文台長を説得。やっとのことでルベリエの予報位置に9インチ屈折望遠鏡が向けら れました。1846年9月23日のことでした。ガーレは観測結果をルベリエに以下内容の手紙にしたため ています。
 「あなたの指摘した場所に、惑星があります。あなたからの手紙を受け取ったその日の夜、私は8 等星の星を見つけました。これはベルリン王立アカデミーによって出版されている一連の星図の中 にも見あたりません。次の日に行った観測によって、これこそ長い間探し求めていた惑星であること が決定しました」。
 海王星を訪れた探査機は、1989年8月25日のボイジャー2号の一機だけです。私たちが知っている ほとんどすべては、この探査機からの情報によるものです。(MIDI: ホルスト組曲「惑星」より「海王 星」)



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