星に願いを・・・
壮大な宇宙にテーマを絞った随筆(エッセイ)集です
星に願いを・・・Part12(土星) 2004/02/08
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天体望遠鏡を覗いたときの感動。遠い、珍しい天体を見たときよりも、遥かな感動を呼ぶ瞬間が土
星を覗いた時にある。言い換えれば、「高い金はたいて望遠鏡を買ってよかった!」と、自己満足に
陶酔する瞬間でもある。残念ながら、現在我が家に天体望遠鏡はない。ハレー彗星の出現と共に購
入して、ハレー彗星の去った後に、物置の整理のために人に譲ってしまった。
望遠鏡越しの土星は、木星のようなハッキリとした縞模様が見られない。おまけにかなり横に潰れ
た形をしている。言うまでもなく、感動を呼ぶものは環(リング)である。観測する年によって、環の角
度が違って見えるから、尚更面白い。更に、このリングには溝があって、リングが分割されている様
子が伺える。これは「カッシーニの隙間」と呼ばれるもので、他にも隙間は無数に存在する。科学の
進歩した昨今でも、この環のしくみや起源は解明されていない。
さて、土星は太陽系第6惑星。木星に次ぐ大きさである。英名は「サターン」。「土曜日・
SATURDAY」の語源である。
1979年に探査機・パイオニア11号が初めて土星を訪れた。その後1980年にボイジャー1号・2号が
最接近している。木星のような縞模様が土星表面には見られないのは、表面での大気の動きが活
発ではないから。両惑星の大気成分はアンモニアだが、太陽からの距離が異なるために、温度差が
この表面の模様を変えているのだろう。
土星の扁平率10%という、横に潰れた形であるが、これは早い自転の為による遠心力の影響で、
流動体の成分構成も多いに影響している。
土星の衛星(月)は18個が確認されている。かつての探査機「ボイジャー」は最大の衛星である「タ
イタン」の調査を重要な任務としていた。何故なら、タイタンには濃い大気の存在が予想されたからで
ある。調査の結果、タイタンの大気はほとんどが窒素であった。しかも大気圧は地球の3倍以上であ
る。液体の水は存在しそうもないことも調査で解った。海があるとしたら、窒素の海だろう。更に二酸
化炭素もなさそうだ。と、いうことは生命の元になるアミノ酸やその他の高分子が形成されにくい環境
であるといえる。もっかのところ生物存在の夢は消えてしまっている。
ボイジャーの探査から早くも25年の月日が経とうとしている。米・ソによる宇宙探査合戦が繰り広げ
られていた時代とはいえ、最近は外惑星にめっきり探査機が飛ばなくなってしまった。寂しい事であ
る。格段に進化したコンピューターやエネルギーを駆使して、遠い天体の新たな発見を全世界の
人々が待ち望んでいることは言うまでもない。(MIDI: ホルスト「惑星」より「土星」)
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