星に願いを・・・
壮大な宇宙にテーマを絞った随筆(エッセイ)集です

 
星に願いを・・・Part11(水星 その1) 2004/02/01


 水星は太陽に最も近い惑星である。太陽から地球までの距離を1天文単位(1AU)で表せば、太陽 から水星までは0.4AU位である。楕円軌道で太陽の回りを公転しているから、位という表現にした。 太陽に近いということは、地球からの観測が困難だということでもある。太陽に近い位置を回ってい るから、地球からでは強烈な太陽光線が邪魔になってしまう。日没後や夜明け前の僅かな瞬間こ そ、水星観察に利用できる期間なのだ。そんなわけで、地球からの観測では、水星がどんな天体な のか、暫くの間わからなかった。1974年に「マリナー10号」が水星の傍まで行って観測を行った。この 時に我々は水星に関することを初めて知ったのである。今から30年も前だ。以降、水星を目指す探 査機は飛んでいません。小さくて、早く動く天体は狙いにくく、太陽に近いことでの高温が妨げになっ ているのでしょう。
 「マリナー10号」の観測で分かったことは、大気圧が地球の10兆分の1ということ。これでは真空 だ。表面温度は400℃。そして成分は鉄とニッケルの合金であるということだった。
 水星で面白い点は自転と公転の奇妙な組み合わせである。水星の1日は地球でいう59日。また、 水星の1年は地球の1日でいえば89日である。比をとると、2:3である。つまり、水星が太陽の軌道 を1周する間に、丁度半回転の自転をする計算になる。昼も長ければ、異常に長い夜の世界でもあ る。昼間は400℃ある気温も、夜は熱が逃げる一方で、マイナス160℃まで下がる。
 「マリナー10号」は機能が尽きるまで、水星表面の写真を送り続けた。その写真を目にしたとき、水 星表面が驚くほど月に似ていたのは、未だ記憶に新しい。(MIDI: ホルスト「惑星」より「水星」)



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